おすすめ本 (7)

今日は 2年生保護者の Mさんご紹介の本です。
 
はじめてのおつかい」 作:筒井頼子 絵:林明子
Mさんの現在中学三年生になる上のお子さんもずっと大好きだったという本。
子どもがいつか必ず体験する、はじめてのおつかい。
大事なお買い物を任されたみいちゃんの張り切り。緊張。不安。
どの心情も、林明子さんの素朴で温かい絵からとても伝わってきますね。
林さんの描く子どもの絵は本当に愛らしくてけなげ。
小さな子の一瞬の表情を捕らえるのが素晴らしくうまい方ですね〜。
そして懐かしい昭和の風景(笑)
あったあった!こんな感じのお店!とか、
こういう服、お母さん着てたっけ、など、昭和40年代目線で見てしまいます(笑)
数々の試練を乗り越えて、主人公のみいちゃんが
ミッションコンプリートしたあとの達成感、緊張からの解放感が
表紙の絵の、満点の笑顔にすべて表されていると思います。
 
もう一冊は
わすれられないおくりもの」 スーザン・バーレイ 作・絵
賢く何でも知っている年取ったアナグマがある日死んでしまいます。
残されたものたちの悲しみは深く、みなどうしていいかわからなくなります。
けれど、今までアナグマがみなにしてくれたこと、言ってくれたことに
思いをめぐらせ、それぞれがもつ懐かしく幸せな思いを共有することで
またみんなの心の中にアナグマは息づくのです。
大切な人の「死」について、静かに深く考えさせてくれる物語として
Mさんが紹介してくれました。
 
私も祖父母が相次いで亡くなったときには、なかなかすぐには受け入れがたく
乗り越えようがない思いにかられたことがありました。
お葬式も終わり、あらかた整理がついた頃もまだなんとなく胸の中が
固く、重たい感じがしていました。
まさに、「どうしていいかわからない」状態でした。
ある人がそんな私を見て、
「おじいちゃんとおばあちゃんのことをたくさん思い出して。
悲しくなるからといって思い出さずにいるのは供養にならないよ。
一緒にやったことや、楽しかったこと、叱られたこと、いろんなことを
しっかり思い出してごらん。そしてそれをお母さんと話してご覧。」と
いわれ、私よりももっともっと消沈していた母と話をしたのです。
すると、体の中からこんなに水分が出るのかと思うほど涙がとめどなくあふれ
それと同時に心に澱のようにたまっていたものが少しずつ
すうっと溶けていって軽くなっていったのを憶えています。
 
Mさんから「私にとってとても大切な本です」と、この本を紹介してもらったときに
このことを思い出しました。
やさしくふかく気持ちに寄り添ってくれる本だと思います。