おすすめ本 (10)

Kです。前回と間が空いてしまいましたが、続きます。

きみはポラリス」 三浦しをん
いわゆる「恋愛もの」11作の短編集ですが、
直球、変化球、違反モノ(?)と、バラエティに富んだ本です。
青春ど真ん中どストレート恋バナかと思いきや、相手はそっちかい!と突っ込みも入り、んん?ごく普通の恋人同士の会話のようだけど・・・視点がどうも違うような・・・って、君はアレか!アレだったのか!などなど、いろんな角度・種類・の「特別な思い」がたくさん詰まっています。
種類も角度も違えども、「深さ」「真摯」という点では、どの恋愛も特別であり、一度きりであり、奇跡であるといえるものなのだと思わせてくれます。
中でも私が特に好きなのは以下4作です。
「永遠に完成しない二通の手紙」「永遠に続く手紙の最初の一文」
まさに青い春でございます。ございますがしかし!アホでまっすぐで軽いのか重いのか混沌としたハイティーンで、実に誠実な馬鹿野郎どものお話です。
「春太の毎日」
ネタばれですが、ふさふさとしたしっぽを持ち、お散歩大好きで、非常に忠実な動物が大好きな方には特におすすめしたいです。愉快な設定ですが、とても温かな思いに満ちた物語です。
「私たちがしたこと」
人はここまで深く思いを込め、または思いを殺すことができるのだろうかと考えさせられる物語です。ただひとりの誰かのためにその人の負担にならないようにどこまでも自分を押し殺しけれどいつまでも深く思い続け守り続ける。
作り物のお話だとはわかってはいますが、とても胸を打たれた物語です。

ちなみに「ポラリス」とは北極星のことです。

最後は
風が強く吹いている」 三浦しをん
素晴らしい本です、という言葉しかもてない自分が歯がゆいです。
うまくいえないので、市立小平図書館からコメントを借りました(笑)反則?
以下がそうです。
「奇跡のような出会いから、清瀬灰二と蔵原走は無謀にも陸上とかけ離れていた者たちと箱根駅伝に挑む。それぞれの「頂上」めざして…。長距離を走る(=生きる)ために必要な真の「強さ」を謳いあげた、超ストレートな青春小説。」
・・・素晴らしい、さすが図書館抄録。

私が何度も読んでいたせいか、娘(高3)息子(高2)の好きな本でもあります。
特に息子は、自身が一中の陸上部だったときにも読んでおり、まさに走ることに苦しさを上回る楽しさを追い求める姿勢が共感を呼んだらしく、じっくり読み込んでおりました。
この本の影響で、お正月の箱根駅伝が楽しみになったのはいうまでもありません。

陸上経験がなくとも、あればなおさらに面白くて感動する本です。
体だけでなくメンタルの強さが問われる世界であることを再確認できます。
そういう意味での「強さ」を追い求める人たちの物語です。

三浦しをんという作家は、表現能力にとてもたけている作家さんなのです。
「そうそう!そのとおり!」と唸ったり、膝を打ったり。
最新作「舟を編む」もリクエスト殺到の人気作家さんです。
彼女の作品をずっと読み続けたいので、彼女と彼女の才能の長生きを祈ります(笑)